高齢のオス犬は特に注意が必要│犬の前立腺肥大について
犬の前立腺肥大は、高齢のオス犬で多い疾患です。
オス犬の前立腺は歳をとると少しずつサイズが大きくなり、大きさが一定以上になると前立腺肥大症と呼ばれる状態になります。
今回は犬の前立腺肥大症について、症状や原因、治療法、予防法などを詳しく解説します。
症状
犬が前立腺肥大症になると、次のような症状が見られることがあります。
・尿が出にくい
・尿に血が混ざる
・便が出にくい
・便に血が混ざる
これらの症状は肥大した前立腺により尿道や直腸が圧迫されてしまうことで引き起こされます。さらに悪化すると肥大した前立腺が直腸を狭窄(管の中が細く狭くなること)させ、便がでなくなるといった症状がみられます。
オスの成犬で上記のような症状がみられる場合には、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
犬の前立腺肥大の原因
前立腺の肥大には性ホルモンが強く関連しています。
アンドロゲンとエストロゲンの2種類の性ホルモンが前立腺の肥大に関わっています。
歳をとると精巣からのアンドロゲンの分泌量が減少し、エストロゲンの分泌量が増加します。これにより、前立腺の細胞の過剰な増殖が引き起こされ、前立腺が肥大してしまいます。
治療
レントゲン検査や超音波検査、直腸検査などを実施して前立腺の肥大を確認します。
前立腺の肥大があり、前立腺の腫瘍などが否定されると、前立腺肥大症として診断が下されます。
前立腺肥大症には性ホルモンが深く関与していることから、治療には基本的に去勢手術がすすめられます。未去勢で手術ができる状態であれば、去勢手術をすることで数週間から数か月で症状が改善することが多いです。
しかし、高齢の犬で多く発症するため手術の実施が難しい場合も多く、薬による治療を行うこともあります。
予防
前立腺肥大症の予防法は、若いうちに去勢手術を行うことです。生後6か月ごろから1歳までに去勢手術をすることには、前立腺肥大の予防も含めた多くのメリットがあるといわれています。
去勢手術をすることで性格が穏やかになったり、マーキングをしなくなったり、精巣の疾患も予防ができるので前立腺肥大の予防以外のメリットもあります。
将来、繁殖させる予定がない場合には、早めに去勢手術を行うことをおすすめします。
まとめ
前立腺肥大症は高齢の犬に頻発する疾患です。
性ホルモンが深く関与して発症しているため、予防・治療のどちらも去勢手術がすすめられます。
高齢である場合は麻酔のリスクが上がるばかりではなく、基礎疾患があることで手術の実施が難しく、薬による治療しか選択できなくなってしまうことも多くあります。
悪化すると前立腺炎などの原因になることもあるため、前立腺肥大症を疑う症状が見られたら早めに治療を開始しましょう。
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