犬や猫のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)について
犬や猫にはクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)という内分泌疾患があります。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、様々な原因で副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される疾患で、主な症状は多飲多尿、多食などです。
※副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは
副腎から分泌されるホルモン(主にコルチゾール)が、過剰に分泌されることによって起こる内分泌疾患です。
コルチゾールは、血糖値を上昇させる働き、タンパク質・脂質の代謝をはじめ、抗炎症作用や免疫抑制作用など生体を維持するために不可欠なホルモンです。
しかし、過剰に分泌される状態が続くと腹部膨満、脱毛、肝腫大、高血糖、筋肉の虚弱など様々な問題が発生します。
また、クッシング症候群は犬では比較的良く知られている内分泌疾患のひとつですが、猫での発生は非常に稀です。
症状
犬も猫も多飲多尿、多食がよく見られる症状です。
犬では、多くの症例で腹部膨満や脱毛、肝腫大、皮膚の石灰沈着、筋肉の虚弱などクッシング症候群の典型的な症状や所見が見られます。
猫では糖尿病が併発し、病状が進むと骨格筋の萎縮のために起立不能になる場合や、皮膚が非常に弱くなり簡単に裂傷ができるなどが主な症状です。
原因
副腎皮質ホルモン(主にコルチゾール)が過剰分泌し続ける原因は二つあります。
一つは副腎そのものの問題(機能性副腎皮質腫瘍)で、もう一つは副腎皮質ホルモンを分泌させる脳の命令系統の異常(下垂体前葉の副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞の腫瘍や過形成)によるものです。
犬の場合は90%、猫の場合はほとんどが下垂体性のクッシングと言われています。
診断・治療方法
診断は、血液検査(一般検査・ACTH刺激試験など)やエコー検査により行なわれます。
猫は血液検査では非常にわかりにくく、副腎の大きさをチェックするエコー検査と臨床症状から判断する場合もあります。
治療は、副腎または下垂体を抑制する薬の投薬による内科療法と、腫瘍を切除する外科療法、放射線治療があります。
猫では併発する糖尿病の管理もしつつ治療を行う必要があるため、治療が非常に困難になる場合もあります。
予防方法や日常の注意点
クッシング症候群を完全に予防することは不可能です。
しかし、内分泌疾患は、命に関わるためなるべく早く治療を開始することが大切です。
飲水量の変化、脱毛、皮膚が薄くなるなど目に見えてわかる異常になるべく早く気づくことや定期的な健康診断を行うことは、クッシング症候群に限らず病気の早期発見には非常に有効です。
まとめ
クッシング症候群は、犬も猫も中高齢で発生することが多い疾病です。
加齢のせいで筋肉が落ちてきているのかも知れない、と自己判断せずに多飲や多尿などの症状が見られたら当院にご相談ください。
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