犬と猫の埋伏歯│永久歯が生え揃う生後6ヶ月頃にデンタルチェックを受け、早期発見を心がけましょう
永久歯の数は犬で42本、猫で30本あります。しかし、愛犬や愛猫の歯がこれより少なく歯がない部分がある場合は、埋伏歯(まいふくし)である可能性があります。歯がないといっても実際は「歯茎の中に埋もれている」状態で、そのまま放置すると顎の骨が折れることもあります。飼い主さんの目では確認することが難しいため、早期発見できるよう、埋伏歯について詳しくご紹介していきます。
原因
歯が生えるスペースがなかったり、歯が正常な位置になかったりすると、歯茎から顔を出せずに埋伏歯になってしまいます。
犬での発生率が高く、短頭種(パグやシー・ズー、ボストン・テリアなど)や小型犬(チワワやポメラニアン、マルチーズなど)に多く発症しやすいといわれています。
症状
埋伏歯は初期の段階では症状がありません。
しかし、進行して「含歯性嚢胞」という液体を含んだ袋状のものが形成されると歯槽骨が溶け、顎の骨が折れることもあります。
診断方法
実は、見た目だけで埋伏歯と診断することはできません。永久歯の数が本来より少ない「欠歯」も同じ外観を示すため、レントゲン検査を行い埋伏歯か欠歯かを判別します。
一般的なレントゲン検査は無麻酔で行いますが、左右の歯が重なってしまい、歯根や顎の骨などの詳細まで確認できないことがあります。
一方、歯科用のレントゲンであれば詳しい部分まで確認できますが、全身麻酔をかけての検査が必要です。
治療方法
年齢を重ねていて、かつ歯槽骨などに問題がない場合はそのまま様子をみることもあります。しかし、埋伏歯をそのままにしておくと含歯性嚢胞が形成されるリスクが高いため、一般的には抜歯を行います。
また、すでに含歯性嚢胞がある場合は嚢胞の除去も行い、1歳未満であれば歯が生える可能性もあるため、歯茎を切開して歯の先端を出してあげるような手術を行います。
予防法
残念ながら埋伏歯は予防が難しい病気です。
埋伏歯は初期症状がないため、たまたま他の病気で診察を受けたときに発見されたり、歯槽骨が溶けたりかなり進行してから発見されるケースが多くみられます。
初期の段階で飼い主さんが気づくのはなかなか難しいと思いますので、永久歯が生え揃う生後6ヶ月頃にデンタルチェックを受け、早期発見を心がけましょう。
まとめ
埋伏歯は症状がなければ飼い主さんが気づくことは難しく、いつの間にか進行して含歯性嚢胞が形成されてしまい、病院に駆け込むケースも少なくありません。最悪の場合顎の骨が溶けて骨折してしまうこともあるため、犬も猫も永久歯が生え揃うタイミングでデンタルチェックを受けるようにしましょう。
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うえの犬猫病院
<参考文献>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/10/1/10_1_1/_pdf